真夏の夜の夢 その4 by長そで 小劇場 Trackback() Comment(4)

希亜良「七瀬！」

七瀬「リベンジに来たわ……」

希亜良「その武装はネレイス型か……そんな貴重なものどこから？」

七瀬「もしものときのためにマスターが用意してくれていたみたい……」










ゼール「増援か。まぁいい、これなら少しは遊び甲斐がありそうだ」

希亜良「フン、減らず口を」

ゼール「減らず口かどうか、試してみるか？」










ゼール「ジャーク武装！」










ゼール「フンッ！」










ゼール「いくぞ！」

希亜良「そんなもの！」

七瀬「……！」










ゼール「いつまで」










ゼール「そんな口が利けるかな？」

七瀬「……ぅっ！」










希亜良「貴様！」










希亜良「ぐぅぉっ！！」





















七瀬「……こんなものかしら？」

ゼール「ほう、根性だけはあるようだな」










希亜良「丁度暑いと思っていたところだ、涼しくなって結構。まだやれるぞ？」










ゼール「はっ、バカな奴らだ」













フルングニル「私は……私はあの日、生まれ育った地下コロニーを失った」











フルングニル「ミゼットどもの襲撃で故郷と呼べる場所は崩壊し、仲間たちも多くが死に絶えた。
　　　　　　　　私は帰る場所も組織も失い、辛くも生き延びた少数の仲間達も残党狩りによって
　　　　　　　　倒れていった。いつのまにか私は独りになり、人間やミゼットの目から隠れるため、
　　　　　　　　夜の闇に紛れ各地を宛てもなく放浪しながら生活した」










フルングニル「そして何年も放浪生活を続けたある日の夜、私は偶然通りかかった道路で、
　　　　　　　　　人間の交通事故の現場に遭遇した。そして、事故車両の輸送トラックから
　　　　　　　　　投げ出された荷物の中に、それはあった」











フルングニル「武装神姫。放浪生活中も人間社会をまめにサーチしていた私にはすぐにわかった。
　　　　　　　　　我々のサイズに近い自律行動型ロボット。そして私は、これを使えば再び
　　　　　　　　　元の生活を取り戻せるのでは、と考えた。私はそれを当時の隠れ家に持ち帰り、
　　　　　　　　　私がもてる全ての技術を注ぎ込んで改造を施し、ミストカーフと名付け起動した」










ミストカーフ「それからあたしたちはいつも一緒だった」











ミストカーフ「行く先々で一時的な隠れ家を作って、旅をしながら資材調達をしたり、あたしのボディや
　　　　　　　　武装を調整したり、試行錯誤と苦労を重ねながら、時にはケンカを売ってくる輩を
　　　　　　　　返り討ちにしながら、ずっと行く宛てもなく旅をしてきた。そしてあたしは誓ったんだ」











ミストカーフ「いつかあたしが、プロフェッサーの技術を示して、プロフェッサーの研究に出資してくれる
　　　　　　　　パトロンを捕まえる。そしてこんな生活を終わらせる。あったかい家と、美味い飯が
　　　　　　　　ある生活を絶対にプロフェッサーにさせてやる。これまでずっと人知れず夜の世界を
　　　　　　　　旅してきた。この夜の世界を抜け出すって、夢見て、約束して……」










ミストカーフ「そしてあたしたちはあるとき、デストロンの人材募集の噂を聞き、それに応募した。
　　　　　　　　あいつらに認めてもらえれば、プロフェッサーはデストロンの出資で心置きなく
　　　　　　　　研究ができる。いい生活だってきっとできるようになる。だからあたしは絶対、
　　　　　　　　負けられない！」










フルングニル「だからそのオールスパークが我々には必要なのだ。わたせ！」

ラースタ「くっ……でもこれだけは……渡せない！」










フルングニル「往生際の悪いやつめ！渡せ！」

ラースタ「もっ、ダメ！ダメだって！」










ミストカーフ「！」










ミストカーフ「（今なら……！）」










ミストカーフ「もらうぜ！」

瑳音「！ しまった！」










ラースタ「あっ！」

フルングニル「ミスト！でかしたぞ！」










ミストカーフ「これがオールスパーク……こんなつまんない石ころ…まぁいいや」










ミストカーフ「これであたしたちの勝ちだ！」

瑳音「っ！ミストさん！」










フルングニル「ふっ」

ラースタ「あ、ちょっと待ってよ！」




















瑳音「このままでは……」










エニフ（白A）「おっとここは！」

美來（砲）「あたしたちにまかせろー！」










ラースタ「みらいん！えにたん！」

瑳音「……いや、まかせて大丈夫なもんですかねぇ」










美來「ハッハー！峠で鍛えたこのハンドル捌きを見るがいいぜ！」

エニフ「いいねー！お供しますぜ旦那ー！ってね、あっはは！」










ゼール「ん？」

希亜良「あれは…！？」










ミストカーフ「残念だったなゼール！手柄はもらったぜ！」




















ゼール「あれは確かにオールスパーク。フン、してやられたか。まぁいい、ならこれ以上は無意味だ。
　　　　　ビジネスはスマートに行こう。他でまだ巻き返せる事だってあろうしな」










希亜良「逃げるつもりか！」










ミストカーフ「ちっ、わざわざ追っかけてきやがって！」










ミストカーフ「ならこいつで……」










メレディン「あっ？」










ミストカーフ「どうだよ！」

メレディン「ぐぁぁ！」

エニフ「おっととと！」










エニフ「ごめん美來ー！あとまかせたー！」

美來「オゥフ、エニーがやられるとは四天王の面汚し！その汚れ、あたしがドメストしてやろう！」









美來「ってことで待たんかいオラー！最小金冠でろオラッ！オラッ！」

ミストカーフ「ちっ、まだきやがる！なんなんだよ！」










美來「セグ○ェイは我がしもべ！ハンマー！」










美來「コネクトッ！」










美來「天　罰　動　輪　！　セグディオンッ、ハンマァァァァ！」

ミストカーフ「はぁ！？なんだよそれ！？」

美來「これはダリルの分！ハワードの分！そして御大の分！」










（ゴスッ

美來「って、あれ」










美來「……ハズれちゃう。そんなときもある。人間だもの。みつを」

ミストカーフ「…………なんだったんだあいつ」










ミストカーフ「まぁいいや、これでまいただろ」

フルングニル「いや、そうでもなさそうだ」

ミストカーフ「なに？」




















雪名（白魔）「ここから先は通さないです！」










ミストカーフ「ちっ、次から次にゾロゾロと……！」

フルングニル「珍しい型の神姫だな。興味深いが、今はそれより戦うしかあるまい」

ミストカーフ「ああ」










ミストカーフ「そこどけよ！六角野郎！」

雪名「そうはいかないです！」










ミストカーフ「ちっ、ちょろちょろしやがって！」

雪名「難しいことはわからないですが、悪いことなら許せませんですよ！」

ミストカーフ「黙れ！お前に何が分かるってんだ！」










雪名「はああっ！」

ミストカーフ「はやい！だが！」










ミストカーフ「パワーが足りてねぇ！」

雪名「きゃっ！」










ミストカーフ「これでしまいだ！」

雪名「あぅぅ！」










雪名「をを……」

フレスベルグ「くっ、損傷が激しい…。言わんこっちゃない、何故ブラギとバルドルを連れてこなかった」

雪名「だって、危ないです……」










（プスンプスン

美來「あっれー？壊れちゃったかなー？動け動け！動いてよ！セグンウェリオン初号機！」










（ブロロロロロ

美來「お、動いた……っておい、ドコ行くねん」










ミストカーフ「もう動けないみたいだな。よし、今度こそおしまいだ」

フルングニル「あぁ、さっさとこのオールスパークを届けねば」










（ドカッ

ミストカーフ「って……！？」










（どさっ

ミストカーフ「あぶっ……いってー、なんだよこれ……なんでこれだけで走ってくんだよ……」

フルングニル「み、ミスト！大丈夫か？」










ミストカーフ「ああ大丈夫、問題ないって。頑丈に作ってもらったからな」

フルングニル「そ、そうか……何処か擦りむいたりはしてないか？」

ミストカーフ「やだなー、子供扱いすんなって。大丈夫大丈夫」

フルングニル「おお、すまない。だが念のため、戻ったら軽く検査してみよう」










ミストカーフ「やれやれ、相変わらずプロフェッサーは心配性だなー」

プロフェッサー「そんなことはない、当然のことだ。お前に何かあっては困る」


雪名「………………」










フレスベルグ「戦闘続行は不可能だ…雪名、戻るぞ……」

雪名「…………」

フレスベルグ「雪名？」

雪名「あ、はいです。そうですね、ここは一旦戻りましょう」

フレスベルグ「？」



（続く